バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻/ホルショフスキー(DenonVanguard COCQ83841)


バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻

バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻

平均律クラヴィーア曲集第1巻 ホルショフスキー(P)(2CD) : バッハ(1685-1750) | HMV&BOOKS online - COCQ-83841/2


B+


ピアニスティックな解釈だが過剰な所がなく、一部は相当素晴らしい。


高齢ピアニストとして、またはカザルスの伴奏を多く務めたことで有名なホルショフスキーによる平均律。私としてはむしろシゲティの伴奏で聴いたなあという人。この録音は89歳頃なされたということで、評価にそういう物語性を含めたくなるのは人情。


演奏には年齢も少しあらわれていると思うが、スタジオ録音のせいか年齢ほどに老いを感じることはないはず。技術的な正確さという点で惜しい、とは思えど、技術がほつれたとは思わされなかった。
全般的に素晴らしい演奏。個人的な表現をすれば「日曜日のような」解釈と言おうか。速い曲は速いし遅い曲は遅い、激しい曲は激しいし穏やかな曲は穏やかなんだが、それぞれが過剰な解釈に陥ることなく、聴き疲れのしない柔らかな演奏となっている。
特に長調の曲とプレリュードで良い演奏が多いように思う。お気に入りの演奏は第13番。


ホルショフスキー自身の物語性で世間の評価が甘くなっていないかと思いたくもなるが、どうして良い演奏。
先入観を持たず聴かれるべし。