バッハ:ミサ曲ロ短調/ミンコフスキ指揮(Naive V5145)

ミサ曲ロ短調 ミンコフスキ&ルーヴル宮音楽隊、10人の独唱者(2CD、ブック仕様装丁) : バッハ(1685-1750) | HMV&BOOKS online - V5145

Bach: Mass in B Minor

Bach: Mass in B Minor


A-


決定盤ならず、残念!


Marc MinkowskiとLes Musiciens du Louvreによるミサ曲ロ短調
ついに来たミンコフスキのバッハ。しかも演奏形態はOVPPとあっちゃ期待しないはずがない。
CDは100ページのブックレット仕様で、外見はCDというより本。


演奏は、ミンコフスキのカラーがしっかり出ていて期待を裏切らない良さ。
アーティキュレーションダイナミクスが強めの解釈で、そこら辺のハーモニーのみに特化した軟弱な演奏とは分けて語られるべき活力ある演奏。
マクリーシュ指揮「マタイ受難曲」ほどの爆演系の演奏ではないが、やはりOVPPで精力あり骨太な演奏という点では稀有。


しかしこれをもってOVPP版ミサ曲ロ短調の決定盤とするまではできなさそう。
アーティキュレーションが強いのは好みが分かれるとはいえ、そこはミンコフスキ、聴き手の好みがどうであろうとこれは素晴らしいと思わせるレベルの音楽性でもって曲を構築している。
問題は歌手。
他のOVPPの演奏と比べると基本的なレベルはみんな高いのだが、その中で素晴らしい人とぼちぼちの人が混ざっているため、曲ごとのレベルに落差がある。
以下に詳細を3段階評価で記す。
◎は素晴らしい。○はそつないレベルだが素晴らしいというほどではない。△は微妙な人。



Sopranos I:
○Lucy Crowe
△Joanne Lunn


Sopranos II:
△Julia Lezhneva
△Blandine Staskiewicz


Altos:
◎Terry Wey
◎Nathalie Stutzmann


Tenors:
○Colin Balzer
○Markus Brutscher


Basses:
◎Christian M. Immler
△Luca Tittoto


お分かりいただけるだろうか。
アルトは間違いなく高レベルなのだが、他は入り混じっている。
そして、Ariaソリストは全員がほぼ1度ずつ歌うという持ち回りのような分担で、結果良いのとそうでないのが混在している。
以下Ariaにおける担当ソリストの詳細を記す。ソリストのレベルは当然演奏の出来と直結している。


Christe eleison:○Lucy Crowe/△Blandine Staskiewicz
Laudamus te:△Julia Lezhneva
Domine Deus:△Joanne Lunn/○Markus Brutscher
Qui sedes ad dextram Patris:◎Terry Wey
Quoniam tu solus sanctus:△Luca Tittoto
Et in unum Dominum:○Lucy Crowe/◎Terry Wey
Et in Spiritum Sanctum:◎Christian M. Immler
Benedictus, qui venit:○Colin Balzer
Agnus Dei:◎Nathalie Stutzmann


参考になれば幸いである。
歌手は上述の通りだが、ミンコフスキが上手いので全体の出来は決して悪くはない。
ミンコフスキは流石のバッハを聴かせてくれました、とまとめておきます。