『エーデルヴァイス』(inspire) 感想


「ちょーおもしろかった」
と書こうと終わる直前まで思っていたが、このエンディングを見ればなるほど評価も下がろうというもの。


ワゴンで確保してプレイし始め、そのあまりの傑作っぷりにすぐにクリアしてレビュー書こうと思ったが、少しプレイしては満足してと繰り返し気づけば3ヶ月経過。人の言を借りれば「読み進むのがもったいない」作品であったが、その通り、極上の雰囲気ゲーだった。


キーワードは「姉弟」「大正」「寸止め」「女性視点」「令嬢」


雰囲気作りが非常に上手く、「シナリオ」「絵」「音楽」が揃って高レベル。
ただ、爽快なエンタメを求められると低評価にはなるだろう。銃を構えるヒロインがパッケージだし、ウーマンリブな物語だが、どんぱちではない。
そのシナリオは筋だけ見ればまるでハードボイルド。だがストーリーは今作においては従属物。メインは非凡な文章で綴られる停滞した人間模様である。ストーリーだけ見ればまあ凡作なのだが、そういう評価はもったいなさすぎる。
絵は単体でどうというより、そのコーディネートが良い。立ち絵が少なく背景画を上手く使っている。これで普通に立ち絵が出てくるADVだったらここまで雰囲気が出ていなさそう。カメラワークを考えた背景だったように思う。演出が上手いと言い換えられそうだ。
音楽も非凡。曲単体で勝負するような音楽ではなく、あくまで劇伴音楽。聴き飽きにくい作りでループにも強い。曲自体繰り返しが多いので、その点を踏まえ労少なくしてこの雰囲気作りと考えると非常に巧み。
声は悪くない。雰囲気を損なわない出来。メインヒロインの役は難しかっただろうなと思う。どのキャラとっても感情の起伏が表にあまり出ない。
システムは若干不便。プレイするのに支障はないという程度。


・総括
文章と音楽が素晴らしい一本道の雰囲気ゲー。
エンディングが微妙なので評価も微妙になりがちだが、どう考えてももっと評価されるべき作品。
なんでワゴン……買ってあげて!