立ち絵の変化と声について


立ち絵は変化したりしなかったり。
立ち絵の変化は表情や動きを表しますが、近年のエロゲでは立ち絵の変化に「話者を示す」という役割が付与されているのが大きい気がする。
キャラクターと音声の対応・結びつきは一度プレイヤーが覚えてしまえば、あとは勝手に聞き分けてくれるものだが、いかにプレイヤーに覚えさせるかが問題となっているはず。
キャラクターの見た目と対応した声質・喋り方(母性キャラにゆるふわトークツンデレがマシンガントークなど)を適用するのにも、こうした意味合いはあるだろう。類型を外れたアテレコにはいつまでたってもプレイヤーの耳は慣れない、キャラと声が一致しないままゲームが進んだら物語をそこねる。ちなみに私は『STEINS;GATE』の主人公オカリンの声がキャラ(の見た目)と最後まで結びつかなかった、のが『STEINS;GATE』の低評価の一因です。
キャラクターを色で性格付けし、テキストとキャラクターに同じ色を用いるというのもけっこう見かける。わかりやすさ・覚えやすさという点では優秀な解決法にも思えるが、反面テキストがとても読みづらくなりがち。


そういった中で立ち絵の効果によってキャラクターと声を結びつける手法がある。
「話者の立ち絵のみ変化させる」というものだ。
複数のキャラクターの立ち絵が画面に登場している時、テキストに話者名が示されていなかったり色が変えられていなかったりすると誰が発言しているか分かりにくくなりがち。そんな時に使用されるのがこの手法である。
立ち絵は変化したり変化しなかったりする。そして複数のキャラが画面にいるときは「発言しているキャラの立ち絵だけが変化し、他のキャラの立ち絵は変化しない」という演出によってキャラ(のテキストなり音声なり)と立ち絵を結びつける。


最近のエロゲになるほどゲーム中に登場するキャラクター総数も増え、また一画面に同時に登場するキャラクターも増えていることは同意いただけると思う。しかもここ数年のワイド画面化が拍車を掛けているっぽい。
そうなると手っ取り早くキャラクターとその声をプレイヤーに結びつけて覚えさせなければ、なんかわいわいやってるんだけどわけの分からないシナリオということになりかねない。
そういった制約から、例えば全員が似たようなツンデレキャラで同じようなテンプレ反応をするというのはキャラの区別という点で難しくなるだろうし、喋り方は語尾に留まらず個性的になりがちだろう。何とも特徴のないごく普通といった雰囲気を醸し出すヒロインは廉価ゲーや同人の単一ヒロインものに目立って存在するように見えるのもそのせいだろう。
そういった感じで、キャラクターと声の結びつきというのは単なる音声・声優に留まらず、立ち絵にまで制約を及ぼすような問題ですね、という話でした。