歌うエロゲヒロイン  と渚

批評空間の「歌うヒロイン!」についてのやりとりを読んでいる。いまのエロゲは声があるのが普通で、すると声を用いた演出としてヒロインが歌い出すのはごく自然に思われる。ならば、まだ声が入ってない頃のエロゲには歌うヒロインが少ないかもしれないと推測される。どうだろうか。まとめると分かるかも?
個人的にまとめようかと思ったが、掲示板のやり取りを見るにちょっと膨大に過ぎて扱いきれないかもしれない。エロゲのクラシックと一部被るため興味がある。


歌うエロゲヒロイン:
・椎名ゆうひ(とらは2)
・フィアッセ(とらは3)
・リコッテ(Ricotte)
・由飛(パルフェ
・きらり(キラキラ)
・夕日(そして明日の世界より
・渚(Clannad
・ジェーン・ドゥ(SEVEN-BRIDGE
・全員合唱(この青空に約束を
・姫歌(鬼うた)
・R-タンポポ(R.U.R.U.R)
・アレックス3(俺たちに翼はない
・アンナ(月光のカルネヴァーレ


これらはプレイ済みで分かる。あと掲示板を見るに、『きっと、澄みわたる朝色よりも、』の「みるくちーの歌」というのは気になるがどうだろう。


並べて見ると、非エロゲだが『Clannad』の渚は音声が無いという点で特殊だ。そしてその歌自体もなんとも難しい。「だんごっ、だんごっ」と渚は歌っていたように記憶しているが、これは明らかに「だんご三兄弟」のパロディだ。ならその歌は、プレイヤーには「だんご三兄弟」のメロディーで想像されるだろう。しかしアニメ化に際してED曲がだんご大家族になってしまったからややこしい。「渚のテーマ」自体はゲームの『Clannad』で既に用いられていた。冒頭部、渚と出会うシーンでいきなり出てくる。しかしゲームのED曲「小さなてのひら」では渚のテーマに別のメロディーを付けて歌としている。つまりゲームの段階では渚のテーマはだんごの歌とは結び付けられていなかった。アニメ化という音声化に伴う演出の刷新だ。
だんご大家族が原作ゲームにおいて初めから意図されていたキーアイテムであったとは思いにくい。深読みすれば、初めは「あんぱんっ」のように渚の口をついてでる励ましの言葉が自分自身のためのものであったのに対し、後には「だんごっ、だんごっ」と自分を含めた家族を象徴するようなキーワードに変わったとも読める。だがプレイした印象は、シナリオが積み重なった時はじめてだんご大家族が意図されずに渚を象徴するものとなったというものだった。渚の出産シーンのあとだったか、あのシーンでまで「だんご大家族です」と渚が言ったのはキーワードだからというよりも思わず口をついて出てしまったというような描写ではないか。そして、しかし、ゲームのED曲はだんご大家族ではない。アニメ化を経てだんご大家族はついにED曲となり、作品を象徴するものとなった?オリジナルの作品を象徴するものがだんご三兄弟のパロディじゃ格好がつかないだろう。そこでだんご大家族が実体の音を手に入れるが、新曲ではなく渚のテーマへの歌詞の付与だったのは、渚のテーマを効果的に活かすためであり、音においてもアイテムにおいても作品の象徴が更なるメディア化でより定まったから?