ビョルリンク:Grona Lund Recordings vol.2

Grona Lund Recordings 2

Grona Lund Recordings 2

ユッシ・ビョルリンク (Bluebell ABCD-057)

B+

ライブ録音4種類詰め合わせ。
全てピアノ伴奏。

録音年とトラックを示す。
1950/7/6  1-5
1951/7/5  6-11
1951/8/10 12-13
1956/7/19 14-19
1957/8/5  20-22

前半3種の録音は悪い。
一つ目はまだましなのだが、他2種は演奏を鑑賞するのが大変な部類。
録音の彼方にビョルリンクを探さなければならない。

後半2種は録音も良いと言わないまでも聴ける部類で、演奏もいい。
特に良かったのはトラック15「M'appari tutt'amor」。
これ単体ならどうだろう、Aくらいか。
有名中の有名曲なので万人にさんざんっぱら歌い尽くされている曲であり、しかも音域とか一通り声に出すだけならそう難しいアリアではないので、もういいよという感が涌く曲である。
よって生半な演奏では音楽的に退屈させるばかりであろうこの曲を、ビョルリンクはどこのポップスだったかというほど聴かせてくれる。
万人が歌い尽くした原因であるその優美なメロディーを、甘きに過ぎない歌いまわしで優しく歌っている。
声の鳴りもよく、鋭すぎず、ビョルリンクの良い面が申し分なく発揮された演奏。

他にはトラック22の「Di' tu se fedele」にはあらためて(ビョルリンクによるこの曲の他の録音でも感心したので。)感心した。
きっちり歌おうと思うと難しい曲だと思うが、まあ見事なこと。
高音のみならず、低音でも聴かせる響きの声で、きっちりかっきりした音程、それでいてリズム感もアクートも申し分ないのだから。
もちろんいい演奏なのだが、それ以上にお手本のような演奏。

基本的に録音はよくないので薦めづらいが、ビョルリンク晩年の歌がピアノ伴奏で聴けることが嬉しい。