Wigmore Hall Live シューベルト歌曲:シュライアー/シフ

シューベルト歌曲ライブ(ウィグモア・ホール) 白鳥の歌など:ペーター・シュライアー(Peter Schreier)/アンドラーシュ・シフ(Andras Schiff) (WHLIVE0006)


シュライアーの歌曲録音は当たりが少ない。
非常に上手いのに何故か音楽的にぴんとこない。
その理由は説明しづらかったのだが、チェレッティ著「テノールの声」にあったシュライアーについての記述「…響きは白々としていて…」というのに尽きる。
バッハのカンタータなどでのシュライアーは、その器楽的な技術を生かした良い演奏をする。
しかし歌曲となると、その白々と響きがどうしても引き立ってしまう。
伴奏楽器との相性もあるかもしれない。
オルガンは合うイメージがあるが、ピアノとしっくり合っている演奏はほぼない。


この録音はそんなシュライアーの歌曲録音の中では良い方。
シュライアーの中で比べるなら解釈もいい感じで勧められるかも。
声に年齢を感じるのは否めない。


ひとつ興味深かったのが「たゆみなき愛」の演奏で、シュライアーの声が裏返っていた。
別に裏返ること自体はテノールなら面白くも珍しくもないだろうが、最初から裏返っているような発声のシュライアーでも裏返るのだなあと。