レナート・ブルゾン/イタリア古典歌曲集

レナート・ブルゾン(Renato Bruson)/イタリア古典歌曲集(Arts 475752)


C+


かなり期待が外れた。
発声は十分良い。少し鳴りと声の明瞭さが足りない気もする。
上手に歌っているのだけれど、しかし良くない。
実際どうかは知らないが、曲に対する愛が感じられない。
この演奏を通じて辿り着きたいミューズ、音楽の真髄がある、ということが感じられない演奏。
ただ、上手いことは上手いので教科書的に捉えるなら悪くないのかもしれない。
この人しか持ち得ない独特の味、というのも(声でも歌でも)薄めで望ましくない。


イタリア古典歌曲の演奏だとティト・ゴッビのとか(TOCE-55114/5)(B 歌い回しに癖が強いが味がある)、エリザベート・シュワルツコップのプロヴァンスライブの中のSe tu m'amiとか(IMV067)(A+ シュワルツコップの録音の中でもトップレベルで良い。神に祝福を受けたレベル。Se tu m'amiに限って言えばS)とか、まとまった良い録音は少なくとも、良い演奏が無いわけではないので、厳しくなる。