今年度ベスト1CD

ベストですよ。
2007年度聴いてよかったCDベスト1ですよ。
ベスト5とか10とかやるのは、今年度聴いたものを把握しきれていない等なので断念ですよ。


「ザ・ジーリ・エディション第15集:カーネギ・ホール・フェアウェル・リサイタル>」ベニャミーノ・ジーリ(Beniamino Gigli)/フェドリ

私においてはエポックメイキングレベルで聴いてよかったCD。

1900年代前半人気を博したベニャミーノ・ジーリの引退コンサートのライブ録音。
音質はライブとしては優良。
演奏内容は良い。ジーリは独特の節回しが強く、録音によっては節回しであまり良くない演奏も多々ある。この録音でも節回しは見られるが、あまりひどくならない程度に収まっていて、ジーリの別の録音と比べても良い感じにまとまっている。

引退コンサートであるからして、声に若さゆえの力はない。
往年の名テノールから若さが剥ぎ取られたら何が残るか?
そこにあるのは、歌の真髄ともいうような剥き出しの技術である。


ジーリは元より甘美なフレージングと弱くやさしい声が素晴らしいテノールである。
寡聞にも、このタイプのテノールを私は以前は聴いていなかった。また聴いていてもしっかりとは理解していなかった。
やさしい声、歌のイメージは曖昧ながらも持っていた。
そしてジーリのこの録音こそがイメージを明確に示してくれた。
そういう点で聴いてよかった。
ファルセットとかピアノとフォルテの自由自在さとか遠くに届く声とか、この録音を聴く方が言葉を費やすより余程よく伝わるだろう


録音は50年くらい前だが、このCDは今年発売されたもの。
大きいCD屋だとちょくちょく置いてある。1000円くらい
ライブ録音が駄目、歌手は若くないと駄目、という人以外にはおすすめ。