バッハ:ピアノ協奏曲/シプリアン・カツァリス他(WPCS21047)


A−




良い。安定感のある軽妙なアレンジが曲に花を添えている。


カツァリスのバッハを聴きたくなったので入手。ヤーノシュ・ローラ指揮、フランツ・リスト室内管弦楽団
収録曲はBWV1052、1056、1054、1057。
好きな曲なのでいくつか盤を持っているがこれは良かった、しっくりきた。
バッハのピアノ協奏曲というと凄くキャッチーなメロディーがあまりに印象的だが、反面メロディーに尽きるというか緩徐楽章が聴けないというか、ちょっと聴いて格好いい演奏はいくつもあったが手元に置いておきたいと感じる演奏が見つからなかった。そこでこれ。


何とも耳に馴染む演奏。メロディーに頼らないところが良いのかもしれない。
一聴して耳に残るメロディーばかりのバッハのピアノ協奏曲においては歌に満ちた演奏が多い中、カツァリスの演奏は特に歌おうという気概を見せることなく、しかし洒脱な曲運びを見せる。これほどにキャッチーな曲だからこそか、歌に頼らない演奏はとても聴きやすい。緩徐楽章の耳に馴染むこと。
軽妙な部分もまた良く、さらっと難しそうアレンジしたパッセージが抜群の安定感でもって挿入されるのは流石。演奏は対位法的性格が強めかも。