「オーガズムの男女差」と「エロゲの演出」について

mp_f_ppそうか!射精フラッシュって時点でその一人称視点は男性のものだわな。女性一人称視点でエロシーンにおけるオーガズムで、射精フラッシュ(として衆知されているかどうかが関わるが)を用いたら射精だから違うし、射精フラッシュを用いないだけというのは演出に書く。「オーガズムハレーション」とか?link
mp_f_pp女性と男性のオーガズムが違うとはよく言う話で、実際厳密にどうかはさておき、射精によるオーガズムと射精によらないオーガズムは大概異なるだろう。その違いの描写は、文章においては普通に意識されているように見受けられるが、演出レベルでは意識が足りないのでは?link


エロゲでひろく用いられている演出の一つに「射精フラッシュ」というのがある。
エロシーンでキャラクターが射精する時に画面を数回真っ白に点滅するというもので、男性的オーガズム(すなわち射精)を簡単な演出で効果的に示すものとして様々なエロゲで用いられている。射精のときの男性の感覚をよく示すだけでなく、真っ白になった画面が精液を想起させたりもするので、それ自体とても面白い演出技法と言える。


ところで、オーガズムには男女差がある。
「男性と女性は性的興奮における盛り上がり方が異なる」とか「女性のほうが男性の〜倍気持ち良い」とか「男性の射精は一瞬だが女性のオーガズムは数十秒続く」とかそういった話だ。
オーガズムの男女差は個人の経験によってある程度変わると思われるが、「射精」という現象は男にしか存在しないため、根本的なところでオーガズムに男女差が存在するという考えに疑念を差し挟む余地はないだろう。


「射精」という男性のみが経験しうるオーガズムをAVGの演出に置き換えたものが「射精フラッシュ」であると言える。画面が一瞬真っ白になる演出とはつまりオーガズムが一瞬であることを示すため、射精フラッシュは「射精」を表すものであって、ある程度の時間続く女性のオーガズムを表すものでないと考えられる。
よって射精フラッシュという演出は男性の視点が土台にある描写と言えるだろう。
しかし、しばしばエロゲにおけるヒロイン(女性)のオーガズムシーンで射精フラッシュが用いられていることもある。これはただ単に演出技法を流用した場合であるとか、女性的オーガズムを男性的オーガズムに当てはめて視点人物が理解している場合などが想像される。


ここでオーガズムに男女差があるというのは衆知の事実であるということを思い返したい。
オーガズムの男女差は経験的に理解できない事柄であるため頻繁に話題にされるし、その男女差を意識的に書き分けている事例には事欠かない。(例:主人公の射精(オーガズム)が一度であるのに対して、何度でもイっちゃう(オーガズムを得る)ヒロイン。)


さてそこで「射精フラッシュ」であるが、前述のように「射精フラッシュ」は男性的(射精の)オーガズム
を土台にした演出である。女性のオーガズムのための演出技法が確立していないのだ。
エロゲにおいてもテキストのレベルではオーガズムの男女差が書き分けられていることは珍しくない。しかしその演出技法として射精フラッシュを用いてしまった時点で、そのオーガズムの場面は「男性(射精)」の視点に束縛されたものとなり、男女差の書き分けは意味がなくなる。つまり女性一人称視点や三人称視点でオーガズムを多様なものとして描くのであれば、男性的な演出技法である射精フラッシュとは異なる演出が必要となるわけだ。


女性的オーガズムのための演出については、そういった可能性があると指摘するにとどめたい。
テキストのレベルでは一人称が女性であることなどから生まれる男女差を意識して作られた作品は多いのに、演出にまでは及んでいないと思われるのはもったいないことだ。
とはいえ、射精フラッシュという演出があまりに早く完成された状態で世に広まっただけとも思える。可能性はこれからだ。




・まとめ
射精フラッシュは男性的オーガズムをあらわす演出技法であるため、オーガズムの男女差を書き分けるためには異なる演出が必要である。