エロゲにおける「良い音声」≒「早口」


エロゲにおける「良い音声」≒「早口」であると思う。
「良い音声」が何かとかまた大上段な断定だとか話すとまどろっこしいから本論。




エロゲプレイにあたって音声を全部聴くユーザーが少ないのはご承知の通り。
それは何故か?音声を最後まで聞く我慢ができないからだ。


リアルでは音声(もとい他人の話)を最後まで聞くのは我慢できるだろう。何故か?音声以外の身体言語という情報があるからだ。
エロゲでは基本的に一つの音声が再生されているとき立ち絵は動かない。動くものもあるが、それは目パチ口パクであり音声と連関した身体言語ではない。つまりエロゲの音声は音声のみの情報しか与えてくれない。さらにテキストが情報の理解を助ける。リアルに比べて「身体言語がなく」「文字言語が提示される」ため格段に情報の理解が早くなる。すると遅々として提示される音声には我慢がならなくなる。
そのため、エロゲの「良い音声」はリアルに比べて「早口」だ。『俺たちに翼はない』でも『つよきす』でも『Forest』でも何でもいい、思い浮かべて欲しい。良い音声の大概は早口のはずだ。


エロゲのフォーマットも関係する。
基本的にテキストと音声は一対一対応している。そのような状況で流れるような会話を音声で再現することは難しい。リトルウィッチのFFDなみにテンポの良い会話なら早口でなくとも良い音声となりやすいだろうが、クリックという束縛は往々にして会話を緩慢にする。そもそも緩慢な日常描写を大量に含んだ物語が多いのに会話が緩慢になるのだ。仕切りの下手な会議のような状態の日常会話を搭載したエロゲにおいては、どうにかしてテンポよくまとめた音声こそが「良い音声」となりうると考えられる。つまり「早口」だ。


比較としてゆっくり喋るキャラを思い浮かべると分かり易くなるだろう。
エロゲ音声のテンプレートとして、ほんわか天然系お姉さんキャラに多く見られる「ゆっくりした音声」がある。だがこのタイプのキャラで音声が成功することは稀である。
ほんわか系ヒロインがゆっくりのんびり可愛く喋る。可愛い……確かに可愛いが、テキストが表示され終わってしばらくしてもまだ音声が終わらない、もっとさっさと読めないのかっ!退屈なシナリオ、冗漫な会話、そこに冗長な音声が加わることに耐えられなくなり、ついには音声をクリックで飛ばす。そのような経験は誰しもあると思う。最後まで気持ちよく聞けないような音声は「良い音声」とは言い難い。




・まとめ
「テキストや立ち絵と言った要素」+「日常が多い」というエロゲの特徴との兼ね合いが成立するような「良い音声」とは必然的に「早口」となりがちである。