『X Change Alternative 2 -キミノヒトミニウツルキミ-』レビュー


ぼちぼち良作。女性となった主人公がヒロインの男友達ルート(セックスあり)が白眉。




男女入れ替わりをテーマにした作品。
ちょっと長めの前半部のあと、主人公とヒロインキャラの精神が入れ替わってしまう。
入れ替わるまでがちょっとかったるめだが、入れ替わった後のシナリオは物によってはかなり良い。


特筆すべきは主人公役の声優。八面六臂の好演。
ルートによって計4人のヒロインと入れ替わるのだが「男声の身体に入ってしまったヒロイン」という演技をかなり丁寧に作っていて、プレイ当初は嫌悪感も湧くかもしれないが、物語を読み進めるうちに可愛く見えてくるよすばらしい。
また女性声優陣の演技も本作のセールスポイントの一つだろう。
主人公(男性)の心と入れ替わった女性の演技をそれぞれの声優ががんばっていて、つまりエロゲ声優には珍しい比較的低音を利かせた珍しい演技が見られる。民安ともえ成瀬未亜の演技が特に良い、楽しい。


男女入れ替わりで効果を発揮したのは声だけではない。
キャラクターの性格設定が活きた。
入れ替わる前、前半部をプレイしている分には凡百に見えるキャラクターたちだが、入れ替わってからはその入れ替わりによってこそできる性格描写が映えた。
女性の身体に入ってしまった主人公は、女性化して初めてはっきりするこまめで可愛げのある性格が描かれた。
主人公の身体に入ってしまったヒロインたちは、横暴な性格であったり男前な性格であったりが魅力的に描かれた。
キャラ設定自体はどれもごく代わり映えのしないと言えそうなものであったが、入れ替わりを用いて描くことでそれらに魅力を付与していた。


そう、設定は凡である。
主人公、筋肉親友、マッドサイエンティスト親友、天然系ヒロイン、サバサバ、お嬢様、委員長。キャラクターはどこでもよく見かけるものばかり。
ストーリーも凡。男女入れ替わりドタバタ、気づかない想い、昔の約束、ホモ親友。
しかし、しかし、一部ルートではこれらの組み合わせがちょっと珍しいくらいに成功し功を奏している。
そのルートとは「女性となった主人公が親友(男)と結ばれるルート」である。
そんなルート完備してどうするんだ!とお思いになるかもしれないが、定番シナリオでありながらも、揺れ動く主人公の存外に丁寧な心情描写と声優の好演が相まってB級以上A級未満のちょっとおすすめしたい出来となっている。
なお女性ヒロインとくっつくルートは特には薦めない。
一つ、委員長ルートは可能性を感じさせる設定であったが、設定開陳後の利用がまったく惜しく、結果出落ちシナリオであった。


シナリオ周りは便利なようでいて不便め。

音楽はなかなか悪くない。タイトル画面の音楽が、歌はないのだが男女の英語による喋り声が用いられていて、ラジオ番組のOP風味の興味深い曲となっている。




・まとめ
「入れ替わり?どうせB級エロコメディだろ」などと軽んじてはいけない興味深い作品。
プロットと声優はけっこう良いよ。


http://www.hs-crowd.co.jp/crowd/product/xca2/index.html