森薫『乙嫁語り 1』 感想


『エマ』より良いと言っていいんじゃないだろうか。


雑誌でちらっと見た時には『エマ』との違いに戸惑ってあまり評価できていなかったが、まとめて読んでみたら文句なく良い。
あとがきで『清々しいまでに全部ブチ込んでありますね』と森薫自身が言うように、もう属性の博覧会のような内容。ヒロイン・主人公・コーカサスあたりは言わずもがな、羊・坊主頭の少年・ウサギ・木屑・布などなど凝るところが偏っているのがいかにも森薫らしく読み応えがある。『エマ』で言えば8巻以降の番外編のノリと似ていて、『エマ』第1巻以上にストーリー性は感じられないだろう。生活ネタに終始するのかストーリーものとしての展開を見せるのかはまだわからない。
『エマ』と比較しするなら、「髪の毛へのフェティシズム」は減じているかもしれない。コーカサスという舞台柄どうしても髪の毛を結わえているキャラクターが多くなり、そのため髪の毛の描き込みを堪能するには『乙嫁語り』はやや物足りないかも。
ともあれ『エマ』の次作はどういうものになるのかという不安を払拭する内容の第1巻だと思います。続刊待望。