モートン・フェルドマン「Three Voices」 聴き比べ

2種類で聴き比べもないんだが、まあ思い立ったので。

モートン・フェルドマン(Mroton Feldman)作曲「Three Voices」
基本的に多重録音を用いて演奏される。
一人三声部。
大半がボーカリーズだが一部歌詞もある。
50分くらいの切れ目のない曲で、組曲というわけではないが物語性を感じさせる構成。
たぶんソプラノ専用曲。
他の声種では映える気がしない。


Morton Feldman: Three VoicesMorton Feldman: Three Voices
(2007/01/30)
不明

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マリアンヌ・シュッペ(Marianne Schuppe) (Col Legno WWE20249)

C

そもそもこの曲を録音したことに感心したが、あまり好みではなかった。
Joan La Barbaraよりも下手だから、と一言で切って捨てるのはどうかと思うので詳しく述べる。

神経質で縮こまったような演奏。
無伴奏多重録音で色々な「ゆらぎ」を魅せるような曲なのだが、その「ゆらぎ」をきれいに揃えることに腐心しすぎたのではないか。
そのせいで、3つの同じ声がそれぞれ勝手に歌いながらも絡み合う、という伸びやかさが出せなく、結果ただの現代音楽のひとつに収まってしまう。

とまあ好きな曲で期待もあっただけに否定的な感想になったが、この録音の完成度は別段低いわけでもなく、演奏者が下手なわけでもない。
録音が少ない曲だけに聴き比べられることがまず嬉しいこと。
薦めはしないが、否定もしない録音というところ。



Morton Feldman: Three Voices for Joan La BarbaraMorton Feldman: Three Voices for Joan La Barbara
(1994/04/05)
不明

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Joan La Barbara (New Albion  NA018)

A+

傑作の域。

聞き易い声とたゆたうフレーズが陶酔的。
特徴的なのが呼吸音で、ブレスの音がオンマイクな感じで大きく聞こえる。
そして3声分の呼吸音が所々から聞こえてきて、じっと聴いていると何を聞いているのかわからなくなったりする。
演奏自体は完璧というような系統ではないが、むしろどこか奔放な声がより引き込む力を増しているのかもしれない。
何十回となく聴いたが、よろしければぜひ。