フリッツ・ウンダーリヒ LIEDERABEND1965(Hanssler Swr Music 93701)

シュヴェツィンゲン音楽祭ライヴ〜ヴンダーリヒ、リーダーアーベント(1965 ステレオ)


B


フリッツ・ヴンダーリヒ、フーベルト・ギーゼンのコンビによるライブ録音。だが拍手や歓声は入ってない。
正規録音は初出ということだが、音質がかなり良い。ライブ録音の音としては良質な部類。ホールの反響は適度に入っている。
先に書くと、私は未だウンダーリヒをあまり評価していないので、レビューの評価も巷よりは低めとなっていると思います。
感想を差っぴいた評価を書くと、熱気が感じられるような録音ではないがライブらしい活力は感じられる録音だしヴンダーリヒらしい声の響きを全編良く味わえる内容なので、ファンの方なら押さえておいて十分なCDだと思われます。


で、感想。
やはりヴンダーリヒが評価できない。つくづく。特にシューマン
大前提としてヴンダーリヒの発声が納得いくものではないというのがある。持ち声は間違いなく素晴らしい人だが、どうも持ち声のみが漠然と響いているというか。響きの組み立て方が緩いというか。
あらためて詩人の恋を聴いたわけだが、ヴンダーリヒは何度聴いても違うと感じる。あるいはギーゼンのせい?メロディーがあまりにメロディアスな曲なだけに対話と構成の要求が非常に厳しい曲だと思うが、ヴンダーリヒのは良く出来た持ち声のみがシューマンをほっぽって一人遊んでいると言おうか。シューマンは向いていなかったと感じる。
今まで聴いた中だと以前書いたままコルトー/スゼーの録音がもっとも良かった。シューマンを相手に丁々発止の総力戦という趣で、そこまでしても詩人の恋は壁のように立ちはだかる曲であった。