唐辺葉介「犬憑きさん」 読了

唐辺葉介犬憑きさん」下巻読み終えたが、上巻相当部分があまり面白くないと感想を書いた自分の評価を疑ってしまうほどに良かった。下巻序盤では、あまりに人を見透かしたような神の視点を踏まえてキャラクターが描かれているという印象を受けた。


ただ、絵はいらなかったかなと思った。絵が悪いという訳ではない、この物語に絵は不必要だったかなという。いくつもある想像力を掻き立てる場面に合わせて挿絵が入る、挿絵の入る位置は納得がいく、しかしあまりに想像力を刺激する描写を絵で固定化したくないと感じた。「PSYCHE」では表紙に冬目景を起用しながら挿絵がないことで一部のがっかりを買った感がある。しかし犬憑きさんを読んでから振り返っても「PSYCHE」の挿絵を用いないという選択は効を奏していた。