マイナーエロゲー発掘レビュー:『まり∽くり』 『ゴス道の乙女たち』 『ワンコとリリー』


マイナーエロゲー発掘企画というのに乗っかって、いっぱいレビュー書きました。
当ブログでは『まり∽くり』『ゴス道の乙女たち』『ワンコとリリーの3つのマイナーエロゲをご紹介します。
気合の入ったレビューが書けたと思うよ!




作品名:まり∽くり -Marriage Crimson-
分類:同人
メーカー:V.O.L
まり∽くり


カルト的エロゲー水仙花』のライターHAINによる同人ゲーム。
メタ的なゲーム構成と過剰な程に饒舌なエロシーンに定評のあるライターであるが、その過剰さがそのまま敷居の高さとなっているのは否めない。
そこでお薦めしたいのがこのゲーム『まり∽くり』。
このゲームは無料です。
下記リンクからダウンロードしてプレイしましょう。リンク先を読めば書いてありますが、価格は105円でいわゆるお布施方式となっています。
メロンブックス.com - まり∽くり -marriage crimson- / v.o.l


なぜこの作品をお薦めするか。理由はその短さにあります。総プレイ時間約20分!
しかしこの作品は「短い」=「無駄がない」。短いながらも完璧にまとまった構成。メタエロゲとして不足なし!
キャラ立ても凄い。初めてプレイした人はヒロインの口調に驚くこと間違いないでしょう。そして全てがメタエロゲとして収束するのは見事。
名前入力を求められますが本名プレイが望ましいです。


前述のように、このライターの作品は時として過剰になる傾向があります。文章も若干微妙です。
なので最新作である『M〜お姉ちゃんの集中恥療!〜』などはどんなに面白くても、推薦するにはやや躊躇われるところがあります。
しかし『まり∽くり』は(一応)無料、しかも短く無駄がない。HAIN入門作として打ってつけ。
メタエロゲの極北たるHAINの世界が皆さんをお待ちしています。






作品名:ゴス道の乙女たち
分類:同人
メーカー:01-Torte
ゴス道の乙女たち


何度でも言いますが、2008年度ベストエロゲは『ゴス道の乙女たち』です。
ゴスロリ、ミステリ、ギャグ、シリアス、ロボット、ブラックユーモア、バカ……全てが渾然一体となったシナリオを申し分ない筆力で書ききった傑作
B級を志向した物語であり、無類のB級作品です。
同人ということでシナリオや文章力に不安のある方もいるでしょうが、本作のレベルは高いです。読ませる文章でありながら癖はあまり強くなく、B級としての面白さを引き出しながらも端正なシナリオとなっています。物語はエリカと直都という2人の男女の視点から描かれますが、特にゴスロリ少女であるエリカ視点での一人称の描写は特筆に値する素晴らしさです。
また主人公の直都がマッチョというのもエロゲにはあまり類を見ません。もちろん設定だけでなく、シナリオでも一枚絵でもマッチョが活かされていてB級エロゲここに極まれりとなっています。


シナリオ重視の人は是が非でもプレイすることをお薦めします。それをプレイしないなんてとんでもない!
端から端まで面白い作品なので詳しい内容には触れません。騙されたとでも思ってプレイしてみてください!ぜひ!






作品名:ワンコとリリー
分類:商業
メーカー:CUFFS


水月』?『さくらむすび』?ぜんぜんちがうよ!
トノイケダイスケの最高傑作は『ワンコとリリー』です><


この作品にはトノイケダイスケの粋が凝縮されている。
悪意のない箱庭的世界観。だがその箱庭をプレイヤーが俯瞰した時に見えてくる奇形的世界。
過度にならない背景設定の暗示。
社会性を感じさせるストーリーでありながら2人が2匹と向き合うことで完結した関係性。


ロードエロとしても出色。ただ一緒に歩く。そこに全ての感情と物語を積み重ねるという美しさ。
エロゲという媒体は膨大な日常シーンの積み重ねにこそ特徴があるという言論は納得のいくところだが、その観点から見ても『ワンコとリリー』は全ての物語を日常へと落とし込んだ構成が見事な作品である。


この作品がトノイケダイスケの最高傑作と述べるのは、何もシナリオだけを指し示してのことではない。
絵も素晴らしい。
稀代の犬耳絵師である桜沢いづみがその犬耳属性を余すところなく発揮している。いかな猫派の人もワンコとリリーちゃんの愛らしさの前には膝を屈っして頭を撫でてしまうのではなかろうか。
音楽も忘れてはならない。
私は『ワンコとリリー』の音楽を『さくらむすび』や『Garden』よりも評価している。『さくらむすび』『Garden』では、世界観の構成という観点からか音楽がピアノ曲に統一されている。このことで両者の音楽は確かにある種の統一感をもって感じられるのだが、反面音楽が一面的でややもすると変わり映えのしない雰囲気となってしまっている。しかし『ワンコとリリー』ではピアノ曲へは敢えて統一せず、打ち込みを活かした音楽を作っている。元より作曲者である安瀬聖は良い音楽を書く人であるが、その良さは『ワンコとリリー』でこそ現れているのではなかろうか。


ワンコとリリー』は私がお薦めするまでもなく有名な作品ですが、より評価されるべき作品であるとしてここで取り上げました。