城生佰太郎 『一般音声学講義』

一般音声学講義

一般音声学講義


今日手にとったら随分な良書だったので、まだ読んでいないがなので薦めておく。


音声学を扱った本は数あるが、どうも音声というより音韻を扱っていたり、舌の位置がどうのこうのという面白くない本が多い中、『一般音声学講義』は良い。著者の専門が実験音声学だけあって、扱っている内容は全くもって音声学であり、しかも学説の紹介も交えながら広くしっかり概説している。
ジョーンズに端を発するIPAの功罪について述べていたり、あとがきで日本には音声学の博士号がないのが問題だと語っていたりと、著者のスタンスの表に出ていることがこの本の魅力の要だろう。
無駄に分厚くなることなくつぼを押さえた内容なので、音韻じゃなく音声の本が読みたいんだ!という人にはうってつけ。