水無神知宏「此れよりは荒野」

Gunning for Nosferatus〈1〉此よりは荒野 (ガガガ文庫)

Gunning for Nosferatus〈1〉此よりは荒野 (ガガガ文庫)

さて、近しい同業者がいい仕事をものにしたとき、僕ら物書きがどう感じるのか想像したことはおありだろうか?祝福?賛辞?

物書きでも何でもない一読者からは、水無神復活への祝福を。


水無神知宏の過去作は「Creschendo」のみプレイ済み。
本作は、人狼や吸血鬼や淫魔が出てくる西部劇。設定や世界観は重めにも思うが、西部劇だからこんなものかというのと現在のラノベの主流を知らないのとで判断できない。出来はぼちぼち。普通に読める内容で、たまにはっとする文章が出てくる。ストーリーはごく平凡な出来だと思うが私は西部劇にまったく思い入れがないため、そうのが好きならもう評価は異なろう。


Nitro+の「続・殺戮のジャンゴ」でも似た気分を味わったが、西部劇というものがきっともう古びてしまっているんだ。その残滓たる世代がきっと水神無あたりの年代で、過去とりあえず荒野で繰り広げられた物語は現代、とりあえず学校で取り沙汰される。その中間世代はとりあえず宇宙?
あとぱっと思いつく西部劇物だと「ANGELBULLET」とかあるけど、虚淵や天野や水無神の世代はたぶん同じくらいなんだろう。でそれとは世代を異にする私は西部劇の物語への感覚も異にし、同じように受領できないと。
もちろん、西部劇は古びれど主流を他へ譲っただけであり滅びてはいない。世代を問わずファンはいるだろう。それを否定するものではない。


閑話休題、まとめ。
何より水無神復活がめでたい。だが今作はそれなり。西部劇が好きなら違う感想になるかも。
次作というよりも水無神の今後に期待。