早狩武志「ハーフボイルド・ワンダーガール」 感想

ハーフボイルド・ワンダーガール (一迅社文庫)

ハーフボイルド・ワンダーガール (一迅社文庫)

読み終わった後、興奮して頭に血が上ってしまうような話ではなく、幸福感に包まれながら安らかな眠りに就けるような物語が書きたい――(中略)突然ふとそんな想いを抱いて、とくに発表の場のあてもなく綴り始めたのが、この『ハーフボイルド・ワンダーガール』でした。 (あとがきより引用)


早狩はこんな作品を書きたくて書いたのか!?(^^;


「ハーフボイルド・ワンダーガール」から始める早狩武志ゲー入門 - 偏読日記@はてな見て新刊出てることを知ったので、遅まきながら読んだ。早狩作品は群青小説版以外は一通りプレイ済み。


間断なく挿入される文章パンチラ、笑わずにいられない緊急蘇生シーン、理解の及ばないミステリ風解決シーンなど「いやー流石ラノベだなあ」と思って読んだので、あとがき見て驚いた。てっきりこの小説こそが商業的に割り切って書いたものかと。

物語の筋は早狩らしいっちゃらしいが、出来はまあ読めば楽しめるかもねという程度。
「ハーフボイルド・ワンダーガール」における早狩らしさは、何と言っても

幼い頃からの恋心は、決して偽者ではなくても、忘れられなくとも……永遠に、それだけが全てではないのだと。

の部分に尽きる。「僕と、僕らの夏」なんてまさにこの文章を拡大したような話。早狩をこの作品で知ったという人は、こういう主題に惹かれるなら他の作品も薦められる。


いや〜、緊急蘇生のシーンは挿絵も付いて、もう何度みても笑えて仕方がない。医者とか弁護士の家ってのを勘違いしてるだろ。


・まとめ
つまらないことはないが、おすすめはしない。