ジュゼッペ・ディ・ステファノ初期録音集(Preiser PRCD93432)

Di Stefano Unreleased Recordings Vol.2 | HMV&BOOKS online - PRCD93432
ジュゼッペ・ディ・ステファノ初期録音集



素晴らしい。
この年齢におけるテノールとしての理想を体現したんじゃないかという声。


1944年と1945年の録音が収録されている。弱冠23歳。23かあ……
この年齢でこの素晴らしさ。しかし個人的には悲観するというより非常に参考になる、ためになるという感想。フィッシャー=ディースカウやヴァルデマール・クメントの若年での録音と比べると印象が異なるが、ディ・ステファノのイタリアンな響きのせいかもしれない。特にディースカウなどは同じ23歳くらいで既に完成している印象があるが、ディ・ステファノに完成という形容は当てはまらない。未来と明るさと若さと可能性が溢れ出てくるような歌声。
ディ・ステファノは一般的に1950年代くらいまでの若い頃の評価が高いが、この1940年代の録音の素晴らしさの前には、55年くらいの録音ですらもう霞む。ディ・ステファノはまだ数を聴いていないが、若い頃ほど良かったのではという印象が涌く。



評価はA+をつけたいところなのだが、幾種類かある録音日時によって音質や出来が微妙にことなるため敢えて下げる。基本的には疑いなく素晴らしい。
また評価には影響していないことだが、声の響きがとても明るく息に乗っている、つまりイタリア的なので、この声の響きを評価できない人もいるのではないかという心配もなくはない。