飛浩隆「はるかな響き」 円城塔「さかしま」 感想

TORNADO BASEというところの「answer songs」で現在公開中の2作を読んだ。


飛浩隆「はるかな響き」
しっかり面白かった。
途中までは不安もあったが問題なかった。音楽とか言語を扱ったものは趣味(価値観)が合わないときついのです。途中のピアノ購入のくだりは「パリ左岸のピアノ工房」を思い出した。
読後快哉というよりじわじわ面白い類なので本の形で手元に欲しい。そう、読んでいる最中は全般的にさっぱりした味だったんだ。例えばサラダの話なんかちゃんと想像すると楽しそうで、「廃園の天使」の金盞花みたいなステキ系でもいいのにと思うくらい。
作中メインの「あの響き」という言葉に、これはどうも趣味が合わなさそうと恐々として読んで、しかし読後そうではなかったというのが助かった感がある。その代わり最後2ページくらいが何とも頂けなかった。落ちというか締めというか、えーってなった。

パリ左岸のピアノ工房 (新潮クレスト・ブックス)

パリ左岸のピアノ工房 (新潮クレスト・ブックス)



円城塔「さかしま」

言っている意味はよくわかりません。

Your Heads Only」みたいな外観だけど、より説明的でやや読みやすくしたような?あとファック。
相変わらず挑戦的といううか何というかな雰囲気だが必要以上に読みにくなっていない。こういうのに素晴らしいという形容が正しいかと思わされるが、前半部は毎度のごとく素晴らしい。思えば飛の「はるかな響き」と似た構造なのか?読むことがどうこうという。飛浩隆傑作と書いているんだから傑作なのかも。

お疲れ様でした。