樺山三英『ハムレット・シンドローム』 感想

ハムレット・シンドローム (ガガガ文庫)
樺山 三英
小学館
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演技と本気の境界をめぐる、思考の劇。


なかなか。樺山三英の『ジャン=ジャックの自意識の場合』は積んでるんだが、こちらは最後まで読ませられた。久生十蘭の翻案である本作だが、特にどこかが浮いているということもなく全体通して一本筋の通った雰囲気を持つ物語になっている。エロゲで例えると『夢幻廻廊』みたいな作品。ストーリーがどうこうより、構成と雰囲気と語り口がメインかしら。安易な落ちに行かないのはよかった、ライトノベルレーベルだからちょっと心配した。


なお本作はタイトルは『ハムレット・シンドローム』なわけだが、実は『あなたの人生の物語』『あなたのための物語』などの『〜の物語』シリーズに冠されるべき一作となっている。
その名も『あなたが生まれてくるまでの物語』(ネタバレ反転)。