『あずまんが大王 新装版』違和感の原因はこれだ!

先日『あずまんが大王 1年生』が発売された。
書き直し・書き下ろしが大量にあるためファン待望の単行本であったが、その絵柄の変化に戸惑った人もまた多いようだ。
私も一あずまんが大王ファンとして「あの台詞の削除がどうだ」「書き直した絵がどうだ」という感想を持っているが、10年近い経た作品のリメイクとあっては色々な変化もやむなしというところである。


しかしそんな変化の中、見過ごせないものが一つある。これは絵柄の変化という一言では済ませられない。
ちよちゃんの髪型の変化である。
これこそが『あずまんが大王 新装版』を旧版読者が読んだときに感じる違和感の原因の一つである。



左が旧版で描かれたちよちゃん、右が新装版で新たに描かれたちよちゃんである。
目や輪郭の変化も気になるかもしれないが、今回は髪型に注目されたい。
おさげの結び目の位置が異なるのがお分かりだろうか。旧版読者はご存知のように、ちよちゃんのおさげの結び目は始めほぼ真横にあるが、2年生の時におさげの結び目の位置をちょっと後ろにずらして髪型をリニューアルする。
なので、左画像のように一年生時のちよちゃんのおさげの正しい結び目の位置は真横である。
ところが新装版における描き下ろしのちよちゃんでは結び目の位置が頭のやや後ろ寄りと、3年時以降のリニューアルした髪型になっている。



↑3年生でのちよちゃんの髪型リニューアル。


別のコマで比較してみよう。

左が旧版の絵、右が新装版の絵である。
顔の向きはやや違うが、おさげの結び目の位置が異なるのがはっきり見て取れると思う。




目の大きさや輪郭などは表現や絵柄の変化として避けられないところであるが、髪型はキャラクターを識別するための重要な記号である。
目などに比べ髪型は比較的絵柄の変化の影響を被らない箇所であると考えられる。事実ちよちゃん以外のキャラクターに髪型の顕著な変化は見て取れない。そのため、ちよちゃんの髪型の変化は3年生時のちよちゃん準拠の髪型で描き直したために起きたのではないだろうか。もしかしたら器用で細心な作家であるため意図的な変化かもしれないが。


旧版読者諸氏で新装版に違和感を拭えない方には、髪型に着目して再読されることをおすすめする。